迷い猫さんについて

お知らせ

 

 

 

トリマー史絵です。

保護していた迷い猫さんですが、2020年3月12日5:15に、お空へ旅立ちました。

保護してからの約2か月間、しっかりと自分の記憶に残すためにも、文章に残してみようと思い、この記事を書きます。

また、もしかしたら、数パーセントの確率で、いつか飼い主さまに届けば幸いです。

寂しさでまだ少し落ち着いていないため、読みづらく、文章がおかしいかもしれませんがお許しください。

 

 

迷い猫さんと出会ったのは2020年1月20日23:00ごろ、旦那さんがチラシのポスティングをしていた時でした。

旦那さんによると、、

猫さんは一軒のおうちの前で座って誰かを待っているような様子でしたが、電気は真っ暗で、周りにも誰もいません。

目が合うとこちらへ寄ってきました。寒そうに震えていたため着ていたダウンで包んで暖め、取り急ぎコンビニで猫缶を買ってくると、すぐに食べてくれました。

しばらく様子を見ていると、そこから動く様子もなく、包まれているダウンの中でウトウト眠ってしまいました。

その晩はMoiに連れて来ることにしました。

 

夜中に1度てんかん発作のような痙攣を起こしました。痙攣は2分ほどでおさまりました。

翌日、動物病院で身体検査をして(マイクロチップなし、推定10~15歳のおばあちゃん猫とのこと)、警察と保健所に届け出をし、ネットの迷い猫専用掲示板にも情報を載せました。

ポスターをつくって保護した近辺に聞き込みもしましたが、誰も猫さんのことを知っている方はいませんでした。

手早くシャンプーをし、フロントラインを付けました。濡れるのはあまり好きそうではありませんでしたが、じっと頑張ってくれる猫さん。

しっかりごはんも水もとり、寝ている時間が長く、トコトコ歩いてはじっと休んで、撫でて~と甘えてきてくれました。顔や頭を撫でられるのが好きなようでした。

「知らない場所なのにえらいね。早く飼い主さん見つかるといいね~」

なんて、夫婦で話していました。

ボロボロになってしまっていましたが首輪もしているし、すぐに飼い主さまが見つかるだろうと思って数日間は「猫さん」と呼んでいましたが、後日ニックネームとして「しじみ」という呼び名をつけました。

犬としか生活したことのなかった私たちは、最初戸惑いの連続でした。(実は猫アレルギーもあったため関わる機会が今まで少なめでした。。。)

しじみが一声「にゃー」と鳴けば、「これ何て言ってるの?具合悪いのかな?トイレしたいのかな?ごはんかな?」と夫婦であたふた。調べたり、猫を飼っている知人などにアドバイスをもらいながらお世話をしました。

 

最初に痙攣を起こしてからはしばらく痙攣は起きませんでしたが、数日後、突然痙攣の感覚が短くなってしまい、1日に数回起こるようになってしまいました。

そこからは通院しながら、血液検査の結果とにらめっこする日々。腎臓・肝臓の数値も良くなく、痙攣はおそらく脳の持病が関係している可能性があるとのことで、何種類かお薬を飲んでもらっていました。

 

日が経つにつれ、少しづつ、しじみの食欲が落ち始めていました。

ドライ、レトルト、ペースト、だんだん自分で食べてくれるものが少なくなってしまったので、少しの量でもカロリーが取れるように病院で粉のごはんをもらい、ぬるま湯で溶いてシリンジで給餌をしました。

寝ている時間がさらに長くなり、食事中に寝てしまうこともしばしば。

なので、しじみが起きているわずかな時間をねらって、仕事の合間に1日何回にも分けてごはんをあげていました。

また、シリンジであげてもお水が飲める量がとても少ないので、皮下点滴を自分たちで毎日する生活が始まりました。

排泄はうまくトイレでできなくなってしまったので、シーツを敷いてこまめに取り換えていました。

しじみは歩くときも足取りがおぼつかなくなり、ふらふらしながらシンク下など狭い隙間に入ってはじっとしていました。

 

痙攣の間隔は落ち着き、自力でごはんやお水を飲もうとお皿に口をつけるようになってくれたのですが、今度は舌ですくって口の奥に流すことがうまくできないようでした。

シリンジで舌の上に2滴ほど垂らすと、どうにか飲み込める状態。

血液検査の結果も芳しくなく、、、

獣医師さんと相談した結果、皮下点滴の量を増やし、鼻から食道まで直接チューブを通してもらい、そこからごはん・水・お薬を入れていくことになりました。

ただ、年齢のこともあるので、今後どういう状態に転んでもおかしくはないとも伝えられました。

しじみは診察室の床の上を、ふらふらになりながらもがんばって歩こうとしていました。

「これからお薬の種類が増えるし、今まで以上に細かく回数をわけてごはんやお水を入れていくことになるから、がんばろうね」

と、しじみノートを作ってごはんの量や時間などをメモしました。

 

翌朝、さっそく恐れていた事が起こってしまいました。しじみの様子がいつもと違います。

これが3月8日のことです。

いつもはすぐに収まっていた痙攣が、弱めに起き続けています。

旦那さんがすぐに病院に連れて行き、私は予約の入っていた子のトリミングをしていました。

病院に行ってすぐ、旦那さんから電話がかかってきました。

「しじみ、もう危ない状態みたい」

脳の機能がもうほとんど止まってしまっているとのことでした。吐き戻したりすることができず、詰まってしまう危険があるとのことで、鼻に通していたチューブはもう外してもらいました。

獣医師さんによると、

もう1時間ももたないかもしれない。

病院から家に帰るまでも間に合わないかもしれない。

という状態だったそうです。

 

それでも、と、旦那さんはしじみを私に会わせるために連れて帰ってきてくれました。

しじみはまだ息をしていました。

 

痙攣は止まっていましたが、目は半開きのままで見えておらず、ずっと静かに眠っているような姿。

真っ白になりそうな頭を必死に動かし、冷静に、冷静に、と、心の中で自分に言い聞かせました。

もう私たちができることは、皮下点滴をして水分補給をしてあげること。

あとは、静かに看取ることでした。

 

しかし、

しじみはここから本当に頑張ってくれました。

8日、9日、10日、、、

ずっと寝たまま(植物状態で手足がたまに反射でわずかに動く程度)でしたが、命をつないでいました。

そして11日の夜、

呼吸の仕方がいつもと違う。なんとなくそう思って夜中じゅう様子を見ていました。

2時、3時、4時、、、寝息のような呼吸から、段々苦しそうな呼吸の仕方に変わっていきました。

(きっと、もう、今日なんだ)

そう思った瞬間に堰を切ったように悲しさがこみあげ、どんどん涙が溢れました。

脳が停止した状態で、もう分からないと思いながらも、頭を何度も撫で続けました。

今までの人生で一番つらい時間帯でした。

(しじみが早くこの苦しみから解放されて、お空でゆっくり休んでほしい)

とも思いました。

 

そして、

私たちが見守る中、2020年3月12日5:15、しじみはお空へ旅立ちました。

 

 

 

 

出会ってから別れまで、たった2か月にも満たない期間。

振り返るととても長い時を過ごした気分です。

心残りは、最後まで飼い主さまを見つけられなかったこと。

本当にごめんなさい。

 

撫でられるのが大好きだったしじみ。

きっと飼い主さまにもとても可愛がられていたと思います。

 

ご心配してくださった皆さま、情報を提供してくださった方、情報を広げてくれた方、本当にありがとうございました。

 

 

そしてもし、この記事を見てくれている方の中に、猫ちゃんを飼われている方がいたら、お願いがあります。

戸締りには十分注意してください。

そしてどうか、猫ちゃんを外に出さないでください。

運動させてあげたいのであれば、おうちの中でたくさん動ける環境を整えてあげてください。

どうしても外に出したいのであれば、リードを付ける練習をして、一緒に外に出てあげてください。

うちの子はそんなに遠くに行かないから大丈夫、ではないのです。

何かがあったときに、一番悲しい思いをするのは、一番可哀そうな結果になってしまうのは、猫ちゃん本人です。

 

どうか、よろしくお願いします。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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